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自己破産した場合、訴えられる・刑事告訴されることはあるのか

  • 文責:所長 弁護士 足立博之
  • 最終更新日:2025年1月10日

自己破産をすると、原則として借金の返済義務がなくなります。

債務者側としてはとても助かることですが、満額の借金を返してもらえなくなる債権者側には大きな負担が生じるのも事実です。

世の中には、借金の返済を巡って争う訴訟も多いです。

「自己破産で借金の返済義務を免れたら、それを不満に思った債権者から訴訟を起こされるのでは?」と不安を感じる方もいらっしゃると思います。

また、「借金を返さないと詐欺罪になるのでは?」「刑事罰があるのでは?逮捕されるのでは?」と心配される方もいるでしょう。

しかし、自己破産自体は犯罪にはなりません。

本記事で詳しく解説いたします。

1 自己破産した人は訴えられるのか

自己破産は「破産法」という法律で定められた、裁判所で行われる合法的な手続きです。

借金の返済義務を免除してもらうとともに、自分の持つ一定以上の財産が裁判所によって処分されます。

処分された財産はお金に換えられて、債権者への弁済として配当されます。

債務者が契約通りに借金を返さず自己破産をすれば、実際には債権者に大きな不利益が生じます。

しかし、裁判所による破産手続開始決定がなされた後は、破産債権者は、破産債権(借金)について破産者に対し訴えを起こすことができなくなります(破産法100条1項)。

また、破産手続開始決定の前に提起された訴訟がある場合、その訴訟手続については、破産手続開始決定とともに中断します(破産法44条1項)。

よって、自己破産をしても訴訟を提起されて金銭の支払いを求められることはありません。

自己破産によって債権者の権利は大きく制限されますが、訴訟に関することもその制限のひとつなのです。

とはいえ、債権者に対し「そろそろ弁護士に依頼をして、債務整理をしようと思っています」などと言ってしまうと、債権者は一部でも借金を回収するために、すぐに訴訟を起こす可能性あります。

自己破産を考えているときは、基本的には債権者には告げず、まずは弁護士に相談をするようにしましょう。

2 自己破産で逮捕・刑事告訴されるのか

上記のように民事上の訴訟は制限されるとしても、刑事的な観点から見て「刑事事件にはならないの?」「警察に詐欺罪などで逮捕されないの?」と不安に思う方はいるかもしれません。

しかし、ご安心ください。

自己破産自体は、逮捕や刑事告訴の対象にはなりません。

感覚的にも、借金を返さないことだけを理由に逮捕されるということはなく、お金を「だまし取って』返さないという場合には逮捕されることがあると考えられます。

お金をだまし取ることは詐欺罪などの刑法に触れるため、当然ながら逮捕や刑事告訴の対象となります。

また、自己破産自体は犯罪ではないので、仮に自己破産をしても前科や前歴がつくこともありません。

【財産の処分は刑事罰ではない】

先述の通り、自己破産をすると、手持ちの財産がある程度処分されます。これを罰金などの刑事罰と考える人もいるようです。

しかし、破産手続きでは処分された財産はお金に換えられて、債権者への配当に使われます。

あくまで弁済のための手続きであり、「自己破産という悪いことをしたから罰金として財産を処分する」という性格のものではありません。

3 詐欺破産罪に注意

破産法には「詐欺破産罪」についての規定があります(破産法第14章罰則)。

詐欺破産罪が適用されると、1ヶ月以上10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、あるいはその両方が科されます。

自己破産自体は刑事事件ではありませんが、債権者を害する意図で次の行為をしたときには詐欺破産罪が成立する可能性があるので、ご注意ください。

⑴ 財産を隠す、壊す

財産を隠したり壊したりすると、債権者が破産手続によって受け取れる配当が減ってしまいます。

そのため、これらの行為は禁止されています。

ただし、不注意で財産を壊してしまったような場合は、「債権者を害する」意図ではないため、罪にはならないと考えられますが、しっかりとした説明は必要となります。

⑵ 財産譲渡や債務負担を仮装(偽装)する

財産隠しに似ていますが、破産する法人の財産を子会社などに売ったように見せかけて、財産の処分を免れようとする人がいます。

そういった行為を防ぐために設けられた規定です。

第三者に財産を売却したような外観を作ったり、実際に貸していないお金を債務者に貸し付けたような契約書を作るなどの行為が該当します。

⑶ 財産の現状を変えて価値を減らす

財産を破壊する以外の方法で、財産の価値を目減りさせる行為を言います。

例えば更地の上に建物を建てれば、土地の価格は下落します。

土地の価格が下落すると債権者への配当が減ってしまうため、これに類する行為は禁止されています。

⑷ 財産を不利益に処分する、または不利益な債務を負担する

例えば、財産を無償で第三者に贈与する、または非常に安い価格で売却する行為です。

また、闇金融業者などから故意に異常な高利で借り入れをすることも、これに該当します。

この場合、行為に加担した者も同じ刑罰を科されます。

⑸ 債務者の財産を取得する、または第三者に財産取得させる

上記の4項目は「破産手続開始決定の前後を問わず」適用されますが、こちらは破産手続開始決定後の行為にのみ適用されます。

破産手続開始決定があったことを知りながら、債権者を害する目的で、裁判所が選任した破産管財人を通さず、そして正当な理由なく、勝手に債務者の財産を取得する行為が該当します。

第三者に債務者の財産を取得させても同様です。

破産手続開始決定があった以上、債務者の財産は破産管財人(裁判所)の管理下に置かれます。正当な理由なく財産を勝手に持ち出されると破産手続に支障があり、債権者への配当も減ってしまいます。

そのためこれらの行為は犯罪とされています。

4 自己破産は合法的な手続き

自己破産をすると、確かに債権者には大きな負担が生じてしまいます。

しかし、自己破産は債務者の経済的な立ち直りのために設けられた合法的な手続きです。

むしろ返済不能な借金を抱えたままで解決ができない状況は、債権者としても督促の手間と時間が負担になり続けます。

破産に関する手続きはとても複雑ですので、弁護士に代理を依頼することをおすすめします。

当法人には、自己破産を得意とする弁護士が在籍しておりますので、ぜひお早めにご相談ください。

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